トヨタのプリウスのリコールが問題となっていますが、
その背景にはシュミレーションソフトの過信があったといわれています。
シミュレーションの問題ということで、設計に関わる仕事柄
無関係ではないので、少し掘り下げて考えてみたいと思います。
製造業ではCATIAという、設計~各種解析まで行えるソフトが
業界標準になっているようです。
CATIAでは圧力の伝達や配線の取り回し、はては衝突安全性などの
様々な解析ができます。
今回問題になったのはそのソフトを使う際、設定項目に落ちがあったのでは?
ということらしいです。
確かにお金のかかる衝突実験や風洞実験などを実際に行うより
シミュレーションソフトで解析できるなら安上がりですし、短時間で行えます。
シミュレーションソフトでは実際の『現実』を再現するために
例えば重力、速度、風、温度、湿気、等々様々な要素を取り入れる必要があります。
ソフト自体にそれらの落ちがあったり、入力の際に設定ミスがあれば
不完全なまま設計が完了することになります。
経験豊富な設計者や製造者がどこかでミスに気がつけばいいのですが、
気づかなければそのまま市場という、莫大なコストの掛かる場で
シミュレーションをが続行されるととなります。
分業化や工期短縮、コスト削減が叫ばれる中、起こるべくして起きた問題と思えます。
建築設計の業界でもBIM(ビルディングインフォメーションモデル)という
ソフトを使った設計・シュミレーション手法が現れはじめています。
大工さんがお茶を飲みながらのんびりと家を建てていた時代とは違い、
建築業界でも工期・コスト・品質という
相入れ難いものが要求されるようになってきています。
BIMも過信は禁物ということだと思います。
エコという追い風に乗っていたトヨタが、リコールという逆風にどのような
カイゼンの一手を打つのか、事態を見守りたいと思います。